2021年12月10日

ルーブル ソファ張替え A様邸

今回修理の依頼をいただきましたルーブルという商品は、彫刻部分がとても特徴的なソファです。
この彫刻部分、一見すると人の手で一つ一つ彫られたのではないか、と思われるかもしれませんが、実は人の手で彫っているわけではなく「カービングマシン」という機械で彫っています。

カービングマシンを導入した当初は機械を使いこなせず、人が彫刻刀で彫る5倍もの労力がかかっていました。ただ、そこであきらめずに技術研究した結果、このような彫刻家具がより市場に出回りやすくなったきっかけとなったそうです。
この難題に立ち向かう闘志は今も工場に根付いており、毎年デザイナーさんから新作家具の提案が届くと、難しければ難しいほど「よし絶対作ってやる」という気持ちになるそうです。

長年お使いいただいたソファはウレタンがヘタってしまい、くたびれてしまっている様子がうかがえます。また木部に関しても塗装が剥がれてしまっていたので、張替えだけではなく木部の塗装修理もご依頼いただきました。

剥がし作業

入荷したソファはまず生地を剥がしていきます。剥がすといっても、ただビリビリと引っ張って破けばよいわけではなく、生地を留めている「タッカー」と呼ばれるホチキスの芯のようなものを一つ一つ抜きながら、生地をきれいに剥がしていきます。スムーズにタッカーが外せるもの、なかなか取れないものなど、商品の状態によってまちまちです。
新しい商品を作る時にはこの剥がす作業は必要ありませんが、修理ではこのように新しく作るよりも手間がかかる作業もあります。

生地を剥がし終わった段階で、フレームにゆがみやゆるみなどがないかチェックします。フレームのゆるみなどは座った時の軋み音につながります。ゆるみがある場合には補強や再接着などを施していきます。生地を張った後では修理することが非常に難しい箇所なので、見落としがないよう細心の注意を払います。

塗装作業

塗装は色が剥がれたところに着色すれば完成というものではなく、何度も「磨いて塗装して」「磨いて塗装して」という工程を繰り返すことできれいな仕上がりになります。

塗装した後のソファの脚部分は平らな面には置けないため、このような台を作成して乾燥させます。この台はこのソファを塗装するために作成したものだそうです。工場では品質や効率を向上するためにはどうすればよいか、考えながらの作業になります。

生地裁断、縫製作業

生地に型紙を当て、切り出すところに印をつけていきます。
生地の幅が広いので、1人でやると、手前の印をつけた後に作業台の向かいに回って印をつけなければならず、非常に効率が悪くなります。そのため、手前と奥、2人1組で作業をすることが多いそうです。

座面はボタンを付ける箇所に合わせて生地を寄せて張っていくため、座面の面積よりも長く生地を取る必要があります。座面の1.5倍くらいの長さになります。

ボタンも同じ張り生地で作る必要があるため、一つ一つ手作業で作っています。
ボタンを生地に通すのも一つ一つ手で行っていきます。

完成

修理をする際には中身のウレタンも交換するため、ソファの背もたれもふっくらとしました。

ソファ修理は工程の数が多く、その分費用も多くかかります。
修理の金額で新しく購入いただけるソファもあると思います。
それでも「このソファを使いたい」と修理を依頼してくださるA様のようなお客様がいらっしゃることはとても光栄なことです。
苦労して製造した弊社先輩スタッフも喜んでいることと思います。

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