リフォーム事例

リフォームブログ

熟練した職人が大切に行う家具のリフォーム。事例や修理の工程などについて担当スタッフが情報をお届けいたします。

木部修理(K様邸)

昭和3年12月20日(木)誕生。

曲木椅子第一号と呼ばれるこの椅子は、マルニ木工が創業し、初めて製品化した弊社の中でも思い入れのある椅子です。
初代 代表取締役社長の山中武夫が「木」という素材を生かしてみたいという夢を抱いてから、様々な試行錯誤の末、工場を創設し、それからさらに約7か月後にやっと思い通りの曲木椅子が誕生したことは、よほど嬉しかったのだろう、と社史に記録があります。

今回、この椅子の木部が割れてしまったので、修理してほしいとのご依頼をいただきました。

1. 木部接着

このような割れの場合、一度部品を取り外し、割れてしまっている箇所を接着し、接着した部品を再度組み立てるという作業になります。
ただ、一度分解して、ビスを取ってしまうと、ビスが変形し、使えなくなるかもしれないという問題がありました。
このビスはおそらく製造当時に使われていたビスだと推測されます。このビスが、今のビスに変わってしまっては、この椅子の良さが損なわれると思い、分解はせずそのまま修理することになりました。

隙間に接着剤を注入し、クランプと呼ばれる器具で木部を押さえつけます。
そのまま押さえつけようとしても、クランプの接地面がカーブを描いているため、うまく力がかかりません。
そこで、木を加工し、力がうまくかかるような道具(左写真)を製作しました。

2. 研磨・着色

木部接着が終わった部材には多少、段差が生じてしまっています。それを平らにするため、磨いていきます。
研磨したのち、塗装を施しますが、部分塗装のため、色を付けた部分に違和感が出ないように塗装を施していくことは職人の腕の見せどころです。

3. 完成

木部修理は、割れ具合がそれぞれ異なるため、イレギュラーなことの連続です。
割れの程度がひどい場合、直らないというケースも出てくることもごく稀にあります。
今回お預かりをするときも、お預かりしてみたものの直らないケースもありますとお伝えしたところ、K様からは「それでも良いので一度修理してみてください」とおっしゃっていただきました。
弊社では『100年経っても「世界の定番」として認められる木工家具をつくり続ける』というビジョンを掲げており、流行に流されないデザイン、壊れにくい椅子の構造ということは100年経っても認められ愛され続けるうえでとても重要なことです。
ただ、最終的にお客様が直してでも使いたいと思っていただかなければ、残っていく家具にはなり得ません。
K様のように直せるかどうかわからない状況でも直してほしいと思っていただけることは本当にありがたいことだと改めて感じました。

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【木部修理についての注意点】
割れの具合によって、修理の可否、金額は変わってきます。

テーブル塗装修理(後編)

家具の塗装はお化粧と一緒と工場の職人は言っていました。
下準備をしっかりしないときれいな仕上がりにはならないということだそうです。
前編でも下準備のご紹介をしましたが、後編も下準備の工程が続きます。

磨き落とし・研磨

お預かりした天板に塗られている古い塗料、汚れをすべて丁寧にはがし落としていきます。

 

目止め

木には導管と呼ばれる、根から吸い取った水分・養分を枝や葉に送る管があります。木の素材そのままの状態で塗装をしてしまうと、導管を伝って塗料が中に入り込んでしまいます。
そのため、目止め材と呼ばれる塗料を使用し導管の隙間を埋めていきます。
目止め材は粘着性が高いため、流れ込んでいってしまうことがありません。
木目がはっきりと見えるようになりますが、隙間に塗料が埋まっている証拠です。

 

下塗り

ここまで下準備を行いようやく塗装を施していきます。研磨→塗装→乾燥→研磨→塗装→乾燥・・・という作業を何度も繰り返すことで、凸凹だった天板が徐々に平らになっていきます。傷の程度によって、2~5回この作業を繰り返し行います。

研磨をする理由は表面に軽く傷をつけ、塗料を付着しやすくするためです。
最後の下塗りが終わった状態をみると(右写真)、もう完成ではないかなと思うくらいきれいに仕上がっていますが、このままの状態ではすぐに傷がついてしまいます。

 

上塗り

下塗りが完成した商品に上塗りをしていきます。傷がつかないようコーティングをしていく作業を行い、塗装修理は完成となります。
テーブル塗装修理は、納品時に「こんなにきれいになるの」と驚かれるくらい修理の中でも一番喜んでいただけます。
きれいになった状態を見て、納品した後には「この状態を維持するためにはどうしたらよいですか」とお客様よりよく質問をいただきます。
木部のお手入れ方法については下記ページをご覧ください。
各素材のお手入れ方法|木部

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テーブル塗装修理(前編)

「突板(つきいた)」「無垢材(むくざい)」という言葉をお聞きになったことがある方もいらっしゃると思います。
天板の仕上げによって修理方法が異なります。
今回はテーブル塗装修理(前編)として、突板でつくられたテーブル修理の下準備をご紹介いたします。

突板、無垢材の違いについては下記URLのコラムをご覧ください。
https://webshop.maruni.com/fs/maruni/c/stories_Vol29

突板は水分がかかったまま放置してしまうと、心材から突板が浮き上がり、テーブルの表面が凸凹になってしまうことがあります。

そこで、浮き上がってしまった部分にカッターで切れ目を入れ、隙間から接着剤を注入し、アイロンで熱を加えながら平らにします。
一見すると、余計にひどく目立ってしまったように思われますが、浮き上がりがなくなり、表面が平滑になります。

今回お預かりしたテーブルは、浮きだけでなく縁の突板が欠けてしまっていたため、欠けてしまった部分に突板をつぎ足します。

下準備が完了したテーブルは研磨、塗装を施していきます。
続きは、次回のテーブル塗装修理(後編)をご覧ください。

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籐の張替え修理 実例(S様邸)

S様は10年ほど前にも生地の張替え修理をご依頼くださった方です。
「以前もとてもきれいに修理していただいたので」とお話いただき、今回は背の籐の張替えをご依頼くださいました。このようなお言葉をかけていただけることは嬉しくなると同時に、身の引き締まる思いがいたします。

今回は籐の張替えについてご紹介します。
籐の張替えは作業風景がとても面白いため、動画と文章合わせてご覧ください。

① 籐の種類
弊社で現在取り扱っている籐は下記3種類です。

ヨツメ カゴメ(小) カゴメ(大)

弊社で扱っている籐は、1本1本手で編んでいくのではなく、編み込んであるものをロールで仕入れています。

 

② 籐の張り込み


籐はそのままでは固く張ることができないため、お湯につけて柔らかくしてから張っていきます。
 

椅子の木部には籐を埋め込む溝が掘ってあり、そこに「埋め込みタッカー*¹」という専用の道具でピン止めしていきます。
*1 タッカーは強力なホッチキスのようなものです。

籐を張っただけの状態では剥がれやすくなるため、籐芯と呼ばれる材料で隙間を埋めきれいに仕上げていきます。

1~2日乾燥させ、次の工程に移ります。
しかしながら、時には乾燥させてみたら籐がたわんでしまった、ということもあります。その際は、籐を一度剥がして再度張替えます。

 

③ 毛羽立ち除去


乾燥させると、ささくれのような毛羽立ちが見られることがあります。
その際は、塗装前に籐の表面をバーナーで焼き、ニッパーで一つ一つ丁寧に毛羽立ちを取り除きます。
この毛羽をきちんと取り除けていないと、修理完成後、お使いの際にお洋服が引っかかってしまうことがあるため、目を凝らして丁寧にチェックしていきます。
 

④ 塗装

スプレーガンで塗料を均一になるように吹きかけていきます。全部で3回同じ工程を行います。1、2回は着色のための塗装、最後の1回は塗装面を守るためのクリア塗装を施します。
 

⑤ 完成

お客様からお預かりした家具が工場に届くと、修理を行う前に必ずぐらつきなどがないかチェックいたします。こうすることで、お客様も気づかないような小さな歪みなども整えることができます。

S様のように気になる個所をこまめに修理していくことは、家具を長持ちさせる秘訣の一つです。

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椅子の張替修理 実例(Y様邸)


今回修理のご依頼をいただいたY様は、ご購入いただいてから20年以上もお使いいただいているお客様です。承った際に、「買い替え」か「修理」で迷っていらっしゃいましたが、思い出があるからと修理を希望されました。
Y様からは
 ・生地の張替え
 ・籐の張替え
 ・椅子の座り心地改善
の3点を承りました。

そこで、今回はよくご依頼いただく張替え作業についてご紹介いたします。

① 検品

お預かりした家具が工場へ運ばれてくると、熟練のスタッフ3~4名でお客様の家具をチェックいたします。ご依頼いただいた修理内容と照らし合わせ、お客様ご自身も気が付いていない不具合箇所が無いか入念に検品を行います。
私もよく検品に立ち会うのですが、その際、修理前にお客様へお伝えした方がよいことや、同じ家具でも年代によって作り方が異なることなど、熟練のスタッフから教わることも多く、とても勉強になります。

② ウレタンの交換

写真は座面のウレタン(クッション材)の修理前と修理後の比較写真です。
張替をご依頼いただいた場合には、ウレタンも合わせて交換しております。
Y様の椅子も20年以上お使いいただいていたので、ウレタンの厚みが新品と比べて半分以下になっており、座り心地が悪くなっていました。

③ 生地の裁断・縫製

型紙を使って生地に印をつけ、裁断し、縫い合わせていきます。

④ 張り込み

座面の木枠にウレタンを載せ、生地を張っていきます。
ただ、マニュアル通りに縫製しても、うまく生地が張れない場合があります。その時は縫製チームと張りチームが現物を見ながら、
 「もう少しふくらみがあった方がきれいに仕上がるよね」
 「じゃあもう少しこういう縫い方をしてみようか」
 「いや、ウレタンの入れ方で調整できるかもしれない」
といったように、長年修理に携わってきた熟練のスタッフだからこそ、どのようにすればより良くなるのかアイデアが次から次へと出てきます。

⑤ 完成

Y様と打ち合わせを行った当初は、木部の塗装修理も検討されていましたが、Y様はとても丁寧に家具を扱ってくださっており、木部の色が経年変化によってとても味わい深くきれいだったため、塗装修理はせず、お使いいただくことになりました。

座り心地も見た目の美しさも新しくなりながら、経年変化により味わいが増した木部がうまく調和し、新品とは異なる良さを持つ椅子に生まれ変わったのではないでしょうか。唯一無二の存在となった椅子をまた20年お使いいただけることは、私たちの喜びです。

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ロゴマークの変遷

マルニ木工の製品に付いているロゴマークは、年代によって異なります。

    1933年~     1952年~     1976年~     1988年~

お客様からお預かりしたこちらの椅子に付いていたのは、2番目に古いロゴマークでした。

修理工場でも最近はなかなかお目にかかることができない貴重なロゴマークの椅子です。
(社内ではクジャクマークと呼ばれています。)
こちらは、単純に珍しいロゴマークというだけではなく、お客様に永年ご愛顧いただいている証でもあります。
ご依頼いただいたお客様はお若い方だったのですが、ご家族から家具を譲り受けたと伺いました。
弊社では100年後も定番として愛される家具を目指し、木と向き合い、モノづくりに励んでいます。こちらのお客様のように世代を超えて弊社の家具を永年お使いくださっているというお話を伺えると、本当に嬉しくなると同時に、身の引き締まる思いがいたします。

一番古いロゴマークが付いている椅子は、私はもちろんのこと、入社30年以上のベテラン修理スタッフに聞いてもお目にかかったことがないと言います。

お持ちの方がいらっしゃいましたら、さらに70年以上お使いいただけるように、お手入れをさせていただきますので、お気軽にお問合せください。

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マルニ木工で直すメリット

インターネットなどで「家具の修理」と検索すると、たくさんの業者さんが出てきます。同じ修理内容でも弊社よりもお安く修理されている業者さんも見受けられます。
お客様からは、「わざわざマルニ木工に頼むメリットってあるの」と聞かれることもあります。
その時に私は“型紙“の話をさせていただきます。
型紙とは、生地を裁断するときに使う道具の一つで、いわば定規のようなものです。型紙を生地に当てながら印をつけ、その線に沿って裁断していきます。

「これらはうちの財産だ」と工場スタッフはよく話してくれます。製品によって型紙の形が異なるのはもちろんのこと、同じ製品でもお選びいただく生地に合わせて何種類も用意するため、弊社にはたくさんの型紙があります。

型紙一つ一つには、このような手書きのメモが残されています。
(この型紙には、#3691番という生地ではどの柄を中心に裁断すればよいか記載されていました)

このように創業当初より蓄積されたノウハウが共有されています。

型紙がない場合は、お預かりした家具の生地を丁寧に外していき、一から型紙を製作する必要があるため、職人さんの腕前が仕上がりを決める大きな要素となります。

弊社では蓄積されたノウハウが共有されているため、仕上がりにムラがなく、新しい製品と同じような仕上がりを実現できるところが、メーカーならではの強みだと思います。また、40年以上変わらずに取り扱っている生地もありますので、ご購入当時と同じ生地で張り替えることもできます。

長く続けているメーカーだからこそ、一緒に過ごしてきた思い出とともに、これから先の人生にも寄り添えるよう、お直しのお手伝いをいたします。

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リフォームブログ始めました

この度、マルニ木工では家具のリフォームに関するブログを始めることにいたしました。
リフォームは、一つ一つ家具の状態が異なり、お直しの工程も多岐にわたります。カタログやHPだけでは伝えきれないことがたくさんありますので、「家具のリフォームってこんなことができる」ということを、事例を交えながら分かりやすくお伝えいたします。
どうぞ楽しみに待っていてください。

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家具の修理相談会 開催中:5月1日(金) ~ 31日(日)