2024年3月8日

椅子の木部塗装

私は月に1度は革靴を磨くようにしています。傷がついた箇所に靴墨をつけて丁寧に磨いていくと、ほんの1~2分ほどの作業ですが、ツヤも出てきれいになります。 

「おしゃれは足元から」とよく言われますが、椅子の張替えと木部修理の関係にも同じようなことが言えます。 

例えば「新品のように直したい」という場合、どんなに素晴らしい生地で背や座面を張替えても、木部の使用感が残っていると「新品」のような仕上がりにはなりにくく、やはり木部まで丁寧に修理・塗装することで、よりイメージに近づきます。 
木部の傷を活かすような修理の場合も、張地だけではなく、必要な木部の修理を施すことで長くご使用いただけるようになり、結果より味わい深くなります。 

すり減りが目立ちやすい張替えのご相談のほうがどうしても多くいただきますが、木部の修理もとても大事です。 
今回はそんな仕上がりの印象を大きく左右する、椅子の木部塗装の修理についてご紹介いたします。 

古い塗装を剥がすと、とてもきれいな「木そのものの色」が現れます。 
古い塗装を残したまま上から新たに塗装をすると、少しの衝撃で下地から剥がれてしまうことがあります。それは古い塗装が下地から剥がれかけていることがあるためです。そのため古い塗装は全て剥がし、下地からやり直します。

木には導管と呼ばれる水の通り道があり、そのまま塗料を吹きかけると塗料が木材に染み込んでしまうため、目止め材と呼ばれる粘着性のある塗料を先に塗ります。
導管が目止め材で埋まると、木目がよく見えるようになります。 

弊社の地中海シリーズでは、アンティーク仕上げという塗装を施しています。
全体的に塗装をした後、ひじ掛けや背もたれの先端部分、接合部分などに少し濃いめの塗料を吹きかけます。そうすることで商品に奥行きが感じられるようになり、重厚感が増します。 

長くご利用いただいていると、張生地、木部、それぞれの経年変化にはあまり気が付きませんが、張替えなどで椅子の生地が新しくなると、木部の傷だけが急に気になってくるということがあります。 

椅子の修理をご検討いただく際、特に「新品」のような仕上がりをご希望される場合は、生地だけではなく木部にも気にかけていただけると完成度も高まり、修理をしてよかったとより一層思っていただけると思います。 

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