Stories MARUNI COLLECTION「HIROSHIMA」
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Story 1
HIROSHIMAの美しさについて
思想がかたちになったとき、美しさが生まれる
デザイナー 深澤直人氏と見出した、「座る行為」の究極のかたち
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Story 2
技術と職人
感性を削り出す、匠の技術
見えない部分にこそ宿る、美しさの論理
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Story 3
納品の実績
空間の重心を、決める一脚
納品事例に見る、“HIROSHIMA”の存在感
Story 1
HIROSHIMAの美しさについて
思想がかたちになったとき、
美しさが生まれる

デザイナー 深澤直人氏と見出した、「座る行為」の究極のかたち
“HIROSHIMA”アームチェアは、流れるような曲線と柔らかい木肌の温もりを持つ、精緻で清浄な椅子です。
これは、深澤氏がこの椅子を製作する際に目指したテーマです。無垢の木材を彫刻のように削り出し、木の塊から生み出された背とアーム。
素材の特性を理解し、加工と強度のバランスを細部まで検証した構造。どれもが世界に類を見ない高度な技術のクオリティの賜物で、控えめで静かな主張を放っています。

設計は、人間の行動を観察することからスタートしました。何気なく座る、腕を置く、立ち上がるなどの、日常のさりげない動作を検証し、材料の部位、面の取り方、曲線の伸び方を設計しています。また見えない部分に宿る手仕事の仕上げの良さも、マルニ木工ならではと言えるポイントです。たとえば、木目の美しい連なりやアームの内側や座面の裏、椅子の端部の丸みの処理など。普段あまり目に触れない場所にまで気を配り、木の繊維が立たないよう何度も研磨を重ね、「思わず手で触れたくなる」質感を作り出します。

アームチェアのフォルムに改めて目を凝らすと、複雑な3次曲面の連なりに気がつきます。たとえば、背もたれのごくわずかな面の変化、肘を置く部分のゆるやかなカーブなど、研ぎ澄まされたラインと厚みの調整によって、彫刻のような柔らかさと建築物のような安心感、唯一無二の存在感を作り出しました。深澤さんは「プロダクトは人の延長」と語りますが、この椅子はまさに、身体の一部のように様々な姿勢で座る動作に自然にフィットするのです。触れたときの滑らかさは知らず知らずのうちに、人の感覚の記憶に残ります。

実際に触れてみると、手の表面が木の表面に吸い付くような、互いに求め合うような感触に出逢います。木肌から放たれる温かさは、身体と融合していきます。椅子は、毎日使い、身体をあずける道具です。「日常の中で、家具がどこまでさりげなく静かで美しい存在になれるか」―その可能性を示す一脚。この椅子があることで、欠けていたものが補われ、生活空間に物語が始まるような、想像力と行動を呼び醒ます、そんな美しい椅子です。

深澤氏とマルニ木工との協働は、HIROSHIMAシリーズを皮切りに、15年以上にわたって続いてきました。その関係性は単なるデザイナーとメーカーという域を超え、互いの思想や姿勢を深く理解し合う「パートナー」と呼ぶべきものでした。深澤氏の「生活の中におけるデザイン」に向き合う視座はとても高く、デザインを受け取ったマルニ木工のメンバーは、木を知り尽くした職人技と最新のCNC加工技術を用いて、試作を重ねて回答を試みていきました。
この地道な日々はとても本質的な時間となり、その時間の中で不朽の椅子が生まれたのです。
全国のショップへ、ぜひお越しください。
マルニ木工の直営店では、「MARUNI COLLECTION」をはじめとする“HIROSHIMA”シリーズなど、代表的な家具をご覧いただけます。静かで洗練された空間で、手触りや木の質感を確かめながら、ゆっくりとご検討いただけます。木材のサンプルや定番色のシートサンプルもご用意。家具に精通したスタッフが、納品場所やレイアウトのご相談にも丁寧に対応いたします。ご希望の方には、その場でのご購入・後日配送も承ります。お気軽にお立ち寄りください。