2020年7月3日

椅子の張替修理 実例(Y様邸)


今回修理のご依頼をいただいたY様は、ご購入いただいてから20年以上もお使いいただいているお客様です。承った際に、「買い替え」か「修理」で迷っていらっしゃいましたが、思い出があるからと修理を希望されました。
Y様からは
 ・生地の張替え
 ・籐の張替え
 ・椅子の座り心地改善
の3点を承りました。

そこで、今回はよくご依頼いただく張替え作業についてご紹介いたします。

① 検品

お預かりした家具が工場へ運ばれてくると、熟練のスタッフ3~4名でお客様の家具をチェックいたします。ご依頼いただいた修理内容と照らし合わせ、お客様ご自身も気が付いていない不具合箇所が無いか入念に検品を行います。
私もよく検品に立ち会うのですが、その際、修理前にお客様へお伝えした方がよいことや、同じ家具でも年代によって作り方が異なることなど、熟練のスタッフから教わることも多く、とても勉強になります。

② ウレタンの交換

写真は座面のウレタン(クッション材)の修理前と修理後の比較写真です。
張替をご依頼いただいた場合には、ウレタンも合わせて交換しております。
Y様の椅子も20年以上お使いいただいていたので、ウレタンの厚みが新品と比べて半分以下になっており、座り心地が悪くなっていました。

③ 生地の裁断・縫製

型紙を使って生地に印をつけ、裁断し、縫い合わせていきます。

④ 張り込み

座面の木枠にウレタンを載せ、生地を張っていきます。
ただ、マニュアル通りに縫製しても、うまく生地が張れない場合があります。その時は縫製チームと張りチームが現物を見ながら、
 「もう少しふくらみがあった方がきれいに仕上がるよね」
 「じゃあもう少しこういう縫い方をしてみようか」
 「いや、ウレタンの入れ方で調整できるかもしれない」
といったように、長年修理に携わってきた熟練のスタッフだからこそ、どのようにすればより良くなるのかアイデアが次から次へと出てきます。

⑤ 完成

Y様と打ち合わせを行った当初は、木部の塗装修理も検討されていましたが、Y様はとても丁寧に家具を扱ってくださっており、木部の色が経年変化によってとても味わい深くきれいだったため、塗装修理はせず、お使いいただくことになりました。

座り心地も見た目の美しさも新しくなりながら、経年変化により味わいが増した木部がうまく調和し、新品とは異なる良さを持つ椅子に生まれ変わったのではないでしょうか。唯一無二の存在となった椅子をまた20年お使いいただけることは、私たちの喜びです。

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