2020年7月18日

籐の張替え修理 実例(S様邸)

S様は10年ほど前にも生地の張替え修理をご依頼くださった方です。
「以前もとてもきれいに修理していただいたので」とお話いただき、今回は背の籐の張替えをご依頼くださいました。このようなお言葉をかけていただけることは嬉しくなると同時に、身の引き締まる思いがいたします。

今回は籐の張替えについてご紹介します。
籐の張替えは作業風景がとても面白いため、動画と文章合わせてご覧ください。

① 籐の種類
弊社で現在取り扱っている籐は下記3種類です。

ヨツメ カゴメ(小) カゴメ(大)

弊社で扱っている籐は、1本1本手で編んでいくのではなく、編み込んであるものをロールで仕入れています。

 

② 籐の張り込み


籐はそのままでは固く張ることができないため、お湯につけて柔らかくしてから張っていきます。
 

椅子の木部には籐を埋め込む溝が掘ってあり、そこに「埋め込みタッカー*¹」という専用の道具でピン止めしていきます。
*1 タッカーは強力なホッチキスのようなものです。

籐を張っただけの状態では剥がれやすくなるため、籐芯と呼ばれる材料で隙間を埋めきれいに仕上げていきます。

1~2日乾燥させ、次の工程に移ります。
しかしながら、時には乾燥させてみたら籐がたわんでしまった、ということもあります。その際は、籐を一度剥がして再度張替えます。

 

③ 毛羽立ち除去


乾燥させると、ささくれのような毛羽立ちが見られることがあります。
その際は、塗装前に籐の表面をバーナーで焼き、ニッパーで一つ一つ丁寧に毛羽立ちを取り除きます。
この毛羽をきちんと取り除けていないと、修理完成後、お使いの際にお洋服が引っかかってしまうことがあるため、目を凝らして丁寧にチェックしていきます。
 

④ 塗装

スプレーガンで塗料を均一になるように吹きかけていきます。全部で3回同じ工程を行います。1、2回は着色のための塗装、最後の1回は塗装面を守るためのクリア塗装を施します。
 

⑤ 完成

お客様からお預かりした家具が工場に届くと、修理を行う前に必ずぐらつきなどがないかチェックいたします。こうすることで、お客様も気づかないような小さな歪みなども整えることができます。

S様のように気になる個所をこまめに修理していくことは、家具を長持ちさせる秘訣の一つです。

-----------------------------
修理の詳細は こちら
修理のお問い合わせは こちら
ダイニングチェアの張替えは こちら