2022年5月13日

職人さんの「Tool Box」

料理人にとっての包丁であったり、小説家が使う万年筆だったり、プロの方々が愛用する道具はどれもカッコよく見えます。
弊社の職人にも話を聞くと、入社当時から変わらず使用しているものや、市販の道具を自分が使いやすいように加工するなど、個々にこだわりがありました。
今回はそんな職人たちの「Tool Box」からこだわりの道具をご紹介します。

木部塗装:スプレーガン

木部塗装 Nさんのこだわりの道具はスプレーガンです。

一見するとどれも同じに見えるスプレーガンですが、筆と同じように大・中・小と大きさに違いがあります。
弊社のトラディショナルな家具は、一色で塗装するわけではなく、隅の部分だけ色を濃くするなど、家具に陰影が出るような塗装を施しています。そのため広い面積なのか、細かな部分なのかなど、塗装範囲や箇所に合わせてスプレーガンの種類を変えていきます。

スプレーガンを見ると「61」という数字が刻印されていました。それは1961年製の意味だと誇らしげに教えてくれました。
故障をしたら部品交換しながら使用しているそうですが、廃番になってしまう部品もあるそうです。手になじんだスプレーガンですが、いつまで使えるか分からないため丁寧にメンテナンスをしながら使用されていました。

生地張り:タッカー

生地張りのAさんに「こだわりの道具はありますか?」とお伺いして出てきたのが、タッカーと呼ばれる道具です。
タッカーとは簡単にいうと大きなホチキスのようなもの。レバーを引くと芯が出て、生地と椅子のフレームとをしっかり固定するための道具です。

Aさんは既製品のタッカーの先端を削り、鋭利な形に加工しているそうです。
先端を鋭利にすることで、布と布の隙間、その奥まで差し込むことができ、芯が見えないように生地を留めることができます。
張りの仕上がりに対するこだわりを垣間見るとともに、リフォーム後の綺麗に張替えられた家具を思い出しました。

縫製:ミシン

生地を縫う縫製担当の皆さんにお話を伺うと、「ミシンは自分がいつも使っているものでないと嫌だ」とのことでした。
関東の工場では脚踏みミシンを数台使用していますが、それぞれ少しずつ踏み込み具合が異なるため、いつも使用しているミシン以外だとどうしても違和感を感じるそうです。中には自分のミシンを自分以外のスタッフが使うことを嫌がる方もいらっしゃるとのこと。
毎日使っているからこそ微妙な違いが大きく感じられるのかもしれません。

縫製:糸

縫製のもう一つのこだわりは糸です。
色も模様も様々な生地を縫う際、糸の縫い目が見えてしまうと美しくないということで、様々な色糸を用意しています。担当者の経験や目を通して、張替えする布に合う一番目立たない糸を選んでいます。

今回、工場の職人たちに「こだわりの道具はありますか?」と聞いたところ、色々と教えていただきました。
工場にはもちろんマニュアルはありますが、作業にあたる全員が商品をよりよくするため、マニュアル以外にも独自の工夫をしながら取り組んでいることがわかりました。営業担当として大変頼もしくなりました。

※同じ作業をしている担当者同士でも異なる道具を使っていることがありました。同じ業界の方がご覧になると「この道具は使いづらそう」と思われる方もいらっしゃると思います。 今回ご紹介した道具は、あくまで一例としてご理解いただければ幸いです。

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