2023年2月10日

ブルボン ソファ張替え 佐藤様邸

今回、とても貴重な商品を修理させていただくことができました。
修理工場でもあまり見かけない、ブルボンという名前のソファです。カタログを見返してみると、当時のマルニ木工の技術を集結して作られていることがわかります。

マルニ木工のロゴも二世代前の孔雀マークが付けられています。
この孔雀のマークが付いたものは、中古やヴィンテージ家具好きの間では「オールドマルニ」という愛称で親しまれています。ロゴマークもステッカーではなく、金属製になっており、当時の家具の中でもグレードの高い家具であったことがわかります。

普段、修理する機会が少ない家具のため、修理工場に生地の型紙データなどがなく、本社のある湯来工場から原寸大の生地パーツを紙に印刷したものを取り寄せました。

図面通りに生地をカットして実際の家具に張っても、仕様改善による変更や当時とは生地や材質も異なるため、若干ズレやヨレなどが発生してしまいます。これが修理の難しいところです。そのため、本番の生地で張る前に、余っている生地などで試し張りを行います。何度か微調整を繰り返し、きれいに張れる形を模索します。

形が決まったら、本番の生地で裁断、縫製を行っていきます。

縫製する際、糸が目立つことが無いよう数十種類の中から適切な糸を選択しています。

背もたれは一見すると1枚の生地を張っているように見えますが、実は中心に繋ぎ目があります。柄がきちんと合うように縫製しています。

生地を張り合わせているのには理由があります。それは生地の幅が決まっているためです。通常、生地の幅は130㎝~140㎝程度が標準サイズですが、今回のソファは幅が190㎝あり、1枚では張ることができませんでした。

目を引く背もたれのボタンはこのソファの大きな特徴の一つです。職人が手で一つ一つ取り付けており、背裏に出ているボタン締めのヒモの数が、その作りの複雑さを物語っています。

縁の鋲も職人が鋲打ち機という機械で1本1本打っていきます。ただ、場所によっては鋲打ち機でうまく打てない箇所があり、そこは木槌で1本ずつ丁寧に打ちます。何の目印もなく、リズミカルに鋲を打っていく様子はまさに職人技です。
鋲を打つ様子は過去のリフォームブログでもご覧いただけます。
飾り鋲 - マルニ木工 公式サイト - Maruni

このソファは卓越した技術を持つ職人がつくり、その技術を継承したスタッフがお直しさせていただきました。まさに弊社の職人魂が詰まったソファです。

そして今回の修理にあたりお客様が選ばれた張地は、木部の彫刻に負けない存在感と力強さを持つ生地です。
職人の技術とお客様の家具を活かすセンスが家具を生まれ変わらせた、とても素敵な修理のご依頼でした。

※今回はお客様にご相談の上、実名で掲載させていただきました。

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