2023年7月14日

ケントコート ウイングチェア張替え O様邸

家具の修理を担当していると、「こんな良い商品があったんだ」と嬉しい発見をすることがあります。このチェアもそんな商品の一つで、今まであまり見たことがない珍しい家具に、工場に入荷して梱包を解いている最中から「なんだ、なんだ」と周りに自然とスタッフの輪ができていました。

今回ご紹介するご依頼は、1989年に発売したケントコートシリーズのウイングチェアの張替えです。

まず生地を剥がしていきます。

このチェアは肘の形が特徴的です。その独特な形を形成するため、木材では加工できないような細かい箇所にはボール紙を使用しています。
生地を剥がしてみるとボール紙がボロボロだったため、新たに付け替えました。

無駄な端切れが発生しないように考える「歩留まり」と、ストライプの柄をうまくつなげるための「柄合わせ」、そのバランスを考えながら生地を使う位置を選択します。

切り出した生地を縫製していきます。

修理をご依頼いただく家具は、長年のご使用でフレームの木が痩せていたり、動いていたりするため、図面通りに作ってもきれいに納まらないことがあります。
その場合、最後に頼りになるのは工場スタッフの経験に基づく「感覚」です。
ウレタンを足したり、生地を少し大きめにカットしてみたり、彼らが家具と向き合いながら培ってきた感覚で「これが一番良い」と納得いくまで手を動かし続けます。

O様は世界中を旅行されており、各地の小物を集められているとのこと。その思い出の小物で彩られた部屋はとても素敵で、新しくなったウイングチェアが馴染むか少しドキドキしながらお届けしました。
設置後、O様から「張替えした生地と壁紙の色が合っている」と感想をいただき、ご満足いただけたようで安心しました。
私たちも再びこの家具に出会うことができて嬉しく、とても勉強になりました。

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