リフォームブログ
熟練した職人が大切に行う家具のリフォーム。事例や修理の工程などについて担当スタッフが情報をお届けいたします。
籐の張替え修理 実例(S様邸)
S様は10年ほど前にも生地の張替え修理をご依頼くださった方です。
「以前もとてもきれいに修理していただいたので」とお話いただき、今回は背の籐の張替えをご依頼くださいました。このようなお言葉をかけていただけることは嬉しくなると同時に、身の引き締まる思いがいたします。
今回は籐の張替えについてご紹介します。
籐の張替えは作業風景がとても面白いため、動画と文章合わせてご覧ください。
① 籐の種類
弊社で現在取り扱っている籐は下記3種類です。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
ヨツメ | カゴメ(小) | カゴメ(大) |
弊社で扱っている籐は、1本1本手で編んでいくのではなく、編み込んであるものをロールで仕入れています。
② 籐の張り込み
籐はそのままでは固く張ることができないため、お湯につけて柔らかくしてから張っていきます。
椅子の木部には籐を埋め込む溝が掘ってあり、そこに「埋め込みタッカー*¹」という専用の道具でピン止めしていきます。
*1 タッカーは強力なホッチキスのようなものです。
籐を張っただけの状態では剥がれやすくなるため、籐芯と呼ばれる材料で隙間を埋めきれいに仕上げていきます。
1~2日乾燥させ、次の工程に移ります。
しかしながら、時には乾燥させてみたら籐がたわんでしまった、ということもあります。その際は、籐を一度剥がして再度張替えます。
③ 毛羽立ち除去
乾燥させると、ささくれのような毛羽立ちが見られることがあります。
その際は、塗装前に籐の表面をバーナーで焼き、ニッパーで一つ一つ丁寧に毛羽立ちを取り除きます。
この毛羽をきちんと取り除けていないと、修理完成後、お使いの際にお洋服が引っかかってしまうことがあるため、目を凝らして丁寧にチェックしていきます。
④ 塗装
スプレーガンで塗料を均一になるように吹きかけていきます。全部で3回同じ工程を行います。1、2回は着色のための塗装、最後の1回は塗装面を守るためのクリア塗装を施します。
⑤ 完成
お客様からお預かりした家具が工場に届くと、修理を行う前に必ずぐらつきなどがないかチェックいたします。こうすることで、お客様も気づかないような小さな歪みなども整えることができます。
S様のように気になる個所をこまめに修理していくことは、家具を長持ちさせる秘訣の一つです。
-----------------------------
修理の詳細は こちら。
修理のお問い合わせは こちら。
ダイニングチェアの張替えは こちら。
椅子の張替修理 実例(Y様邸)
今回修理のご依頼をいただいたY様は、ご購入いただいてから20年以上もお使いいただいているお客様です。承った際に、「買い替え」か「修理」で迷っていらっしゃいましたが、思い出があるからと修理を希望されました。
Y様からは
・生地の張替え
・籐の張替え
・椅子の座り心地改善
の3点を承りました。
そこで、今回はよくご依頼いただく張替え作業についてご紹介いたします。
① 検品
お預かりした家具が工場へ運ばれてくると、熟練のスタッフ3~4名でお客様の家具をチェックいたします。ご依頼いただいた修理内容と照らし合わせ、お客様ご自身も気が付いていない不具合箇所が無いか入念に検品を行います。
私もよく検品に立ち会うのですが、その際、修理前にお客様へお伝えした方がよいことや、同じ家具でも年代によって作り方が異なることなど、熟練のスタッフから教わることも多く、とても勉強になります。
② ウレタンの交換
写真は座面のウレタン(クッション材)の修理前と修理後の比較写真です。
張替をご依頼いただいた場合には、ウレタンも合わせて交換しております。
Y様の椅子も20年以上お使いいただいていたので、ウレタンの厚みが新品と比べて半分以下になっており、座り心地が悪くなっていました。
③ 生地の裁断・縫製
型紙を使って生地に印をつけ、裁断し、縫い合わせていきます。
④ 張り込み
座面の木枠にウレタンを載せ、生地を張っていきます。
ただ、マニュアル通りに縫製しても、うまく生地が張れない場合があります。その時は縫製チームと張りチームが現物を見ながら、
「もう少しふくらみがあった方がきれいに仕上がるよね」
「じゃあもう少しこういう縫い方をしてみようか」
「いや、ウレタンの入れ方で調整できるかもしれない」
といったように、長年修理に携わってきた熟練のスタッフだからこそ、どのようにすればより良くなるのかアイデアが次から次へと出てきます。
⑤ 完成
Y様と打ち合わせを行った当初は、木部の塗装修理も検討されていましたが、Y様はとても丁寧に家具を扱ってくださっており、木部の色が経年変化によってとても味わい深くきれいだったため、塗装修理はせず、お使いいただくことになりました。
座り心地も見た目の美しさも新しくなりながら、経年変化により味わいが増した木部がうまく調和し、新品とは異なる良さを持つ椅子に生まれ変わったのではないでしょうか。唯一無二の存在となった椅子をまた20年お使いいただけることは、私たちの喜びです。
-----------------------------
修理の詳細は こちら。
修理のお問い合わせは こちら。
ダイニングチェアの張替えは こちら。